「固定資産の減損に係る会計基準」Q&A
公認会計士 荒木和郎
(週刊経営財務2002年9月9日号掲載)
はじめに
1.経緯
Q1
固定資産の減損や投資不動産の会計処理に関して、企業会計審議会で
は、いままで、どのような審議が行われ、また、意見書や報告書としてはどの
ようなものが公表されているのでしょうか。
2.実施時期等
Q2
「固定資産の減損に係る会計基準」は、いつから適用になるのでしょうか。
また、早期適用も認められているのでしょうか。
Q3
金融商品会計や退職給付会計においては、企業会計審議会による会計基
準の公表を受けて、日本公認会計士協会が、実務に適用する際の指針を作
成していましたが、今回の固定資産の減損に関する実務上の指針について
は、どこで作成されるのでしょうか。
3.基本的考え方
Q4
固定資産の減損処理は、金融商品に適用されている時価評価とはどのよう
な点で異なっているのでしょうか。基本的な考え方を教えてください。
4.対象資産
Q5
減損会計は、どのような資産を対象としているのでしょうか。
5.減損損失の認識と測定
(1)減損の兆候
Q6
減損損失を認識するかどうかは、減損会計の対象となる全ての資産につい
て調べる必要があるのでしょうか。
Q7
減損の兆候とはどのような事象ですか。
Q8
減損の兆候に例示されている「資産又は資産グループが使用されている範
囲又は方法について、当該資産又は資産グループの回収可能価額を著しく
低下させる変化が生じたか、あるいは、生ずる見込みであること」における
「回収可能価額を著しく低下させる変化」とは、具体的に、どのような事象を指
すのでしょうか。
Q9
資産の市場価格が著しく下落していない場合には、減損損失を認識するか
どうかの判定は行わなくてもよいのでしょうか。
(2)減損損失の認識
Q10
減損損失を認識するかどうかの判定は、何に基づいて行うのでしょうか。
Q11
減損損失を認識するかどうかの判定においては、必ず、割引前将来キャッシ
ュ・フローの算定が必要なのでしょうか。
Q12
減損損失を認識するかどうかを判定するために用いられる割引前将来キャ
ッシュ・フローの見積期間は、どのように定められているのでしょうか。
3)減損損失の測定と会計処理
Q13
意見書は、減損損失を認識する場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減
額することを定めています。回収可能価額とは、どのような金額なのでしょう
か。
Q14
正味売却価額を算定する際の時価とは、どのような金額なのでしょうか。
Q15
回収可能価額を算定する際には、必ず、正味売却価額と使用価値の両方を
算定する必要があるのでしょうか。
Q16
減損処理においては、帳簿価額を回収可能価額まで減額しますが、当該減
少額については、どのような会計処理を行うのでしょうか。
(4)将来キャッシュ・フロー
Q17
意見書には、将来キャッシュ・フローに関する様々な規定がありますが、こ
れらは、時価の算定の際にも適用されるのでしょうか。
Q18
企業に固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定及び予測に基づい
て、将来キャッシュ・フローを見積らなければならないのは、なぜでしょうか。
Q19
検討対象となっている資産又は資産グループに関連して、追加的な設備投
資や、事業の再編が行われる場合、キャッシュ・フローは大きく変動する可能
性があります。これらは、将来キャッシュ・フローの見積りのうえで、どのように
扱われるのでしょうか。
Q20
意見書では、将来キャッシュ・フローの見積りの方法には、2つの方法があ
るとされています。この2つの方法について説明して下さい。
Q21
将来キャッシュ・フローを見積る際に、他の部門からの経費の振替等、内部
取引に係る費用は、無視すべきなのでしょうか。
Q22
利息の支払額、法人税等の支払額や還付額を、将来キャッシュ・フローの見
積りに含めないのは、どのような理由からでしょうか。
(5)使用価値の算定に際し用いられる割引率
Q23
使用価値は、将来キャッシュ・フローを割り引いて算定されますが、その際
に用いられる割引率としては、どのような率を適用すればよいのでしょうか。
Q24
将来キャッシュ・フローとして、その期待値を見積った場合、リスクはすでに
キャッシュ・フローに反映されていると考えられるので、さらに、割引率又はキ
ャッシュ・フローに反映させなくてもよいのではないでしょうか。
Q25
国際会計基準においては、使用価値の算定にあたり、どのような割引率が
適用されているのでしょうか。
(6)資産のグルーピング
Q26
個々の資産がそれぞれ別々にキャッシュ・フローを生み出している金融資産
とは異なり、事業用の固定資産は、種類の異なる複数の資産が一体となって
使用され、キャッシュ・フローを生み出している場合が多いと思われます。この
ような場合、資産をグルーピングすることが必要となりますが、どのような単位
でグルーピングを行うべきなのでしょうか。
Q27
資産グループについて認識された減損損失は、資産グループの構成資産
に、どのような方法で配分するのでしょうか。
(7)共用資産の取扱い
Q28
共用資産とは、どのような資産ですか。
Q29
共用資産に係る資産のグルーピングは、どのようにして行うのでしょうか。
Q30
共用資産に関して、より大きな単位でグルーピングを行う方法を採用した場
合、減損損失を認識するかどうかの判定と減損損失の測定は、どのようにし
て行うのでしょうか。
Q31
共用資産の帳簿価額を資産又は資産グループに配分する方法を採用した
場合、減損損失を認識するかどうかの判定と減損損失の測定は、どのように
して行うのでしょうか。
(8)のれんの取扱い
Q32
意見書におけるのれんには、連結調整勘定も含まれるのでしょうか。
Q33
のれんに係る資産のグルーピングは、どのようにして行うのでしょうか。
Q34
共用資産については、共用資産を含むより大きな単位でグルーピングを行う
ことが原則とされていますが、のれんについては、まず、帳簿価額を分割する
こととされています。これはどのような理由によるのでしょうか。また、のれん
の帳簿価額の分割は、どのようにして行うのでしょうか。
Q35
のれんの帳簿価額を各資産グループに配分した場合、のれんを含む資産グ
ループについて認識される減損損失は、資産グループの各構成資産に対し、
どのように配分するのでしょうか。
Q36
企業会計審議会の第一部会では、現在、企業結合会計に関する審議が行
われています。今回定められたのれんの減損処理が、その結果を受けて、見
直される可能性はあるのでしょうか。
6.減損処理後の会計処理
Q37
減損処理後においても、減価償却を行う必要があるのでしょうか。
Q38
減損処理を行った資産について回収可能価額が回復した場合には、過年
度に認識した減損損失の戻入れを行うことができるのでしょうか。
7.財務諸表における開示
Q39
減損処理を行った資産は、貸借対照表において、どのような形式で記載さ
れるのでしょうか。
Q40
減損損失は、損益計算書において、どの区分に表示されるのでしょうか。
Q41
減損損失を認識した場合、財務諸表にはどのような事項を注記する必要が
あるのでしょうか。
8.ファイナンス・リース取引の取扱い
Q42
当社では、ファイナンス・リース契約に基づいて使用している資産は、賃貸借
処理を採用しているため、オフバランスとなっています。このような資産につい
ては、減損会計の適用がないと考えてもよいのでしょうか。
9.減損会計に関するその他の論点
(1)中間会計期間において減損処理を行った資産に係る取扱い
Q43
意見書では、中間会計期間において減損処理を行った資産に係る取扱い
が、企業会計基準委員会において措置すべき事項として例示されています。
これについては、どのような論点があるのでしょうか。
(2)再評価を行った土地の取扱い
Q44
「土地の再評価に関する法律」(土地再評価法)に基づいて再評価を行った
土地について、減損会計上はどのような取扱いになるのでしょうか。
0.投資不動産
Q45
国際会計基準は、投資不動産をどのように定義しているのでしょうか。また、
投資不動産について、どのような会計処理や注記を定めているのでしょうか。
Q46
意見書は、投資不動産の会計処理や時価情報の注記について、どのような
結論を出しているのでしょうか。
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