「固定資産の減損に係る会計基準」Q&A


 
Q30
 共用資産に関して、より大きな単位でグルーピングを行う方法を採用した場合、減損損失を認識するかどうかの判定と減損損失の測定は、どのようにして行うのでしょうか。




 より大きな単位でグルーピングを行う方法を採用した場合、減損の兆候の把握、減損損失を認識するかどうかの判定及び減損損失の測定は、まず、共用資産を含まない資産又は資産グループごとに行い、その後、共用資産を含む、より大きな単位で行います。つまり、下位のレベルである共用資産を含まない個々の資産又は資産グループごとの検討(国際会計基準における「ボトムアップ・テスト」)を行ったうえで、上位のレベルである共用資産を含む大きな単位での検討(「トップダウン・テスト」)を行うという2段階の手続が必要になるということになります。
 上位のレベルである共用資産を含む大きな単位における減損損失を認識するかどうかの判定は、下位のレベルである共用資産を含まない個々の資産又は資産グループの、減損損失を控除する前の帳簿価額に、共用資産の帳簿価額を加えた金額と、割引前将来キャッシュ・フローの総額とを比較することによって行います。減損損失を控除する前の帳簿価額に一旦戻したうえで判定することにより、減損処理後の帳簿価額を用いて判定する場合と比べ、減損損失を認識するケースは増えることになります。
 このような判定の結果、減損損失を認識することとなった場合には、その大きな単位について減損損失を測定します。共用資産を加えることによって算定される減損損失の増加額は、原則として、共用資産に配分されます。
 ただし、共用資産に配分された減損損失が、共用資産の帳簿価額と正味売却価額の差額を超過することが明らかな場合には、当該超過額を合理的な基準により各資産グループに配分します。これは、減損損失を配分したために、共用資産の帳簿価額がその正味売却価額を下回る金額まで減額されてしまうといった事態を避けるという配慮からであると考えられます。





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