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Q19
検討対象となっている資産又は資産グループに関連して、追加的な設備投資や、事業の再編が行われる場合、キャッシュ・フローは大きく変動する可能性があります。これらは、将来キャッシュ・フローの見積りのうえで、どのように扱われるのでしょうか。
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A
将来キャッシュ・フローは、現時点における資産又は資産グループの回収可能性を反映するように見積るべきであると考えられます。このような考え方から、意見書は、将来キャッシュ・フローの見積りに際しては、資産又は資産グループの現在の使用状況及び合理的な使用計画等を考慮するとしています。
このことから、計画されていない将来の設備の増強や事業の再編の結果として生ずる将来キャッシュ・フローは、見積りに含めないとしています。
これをもう少し詳しくみてみると、まず、追加的設備投資を行えば、その投資金額は、キャッシュ・フローのマイナス要因となりますが、反面、設備投資を行うことによりキャッシュ・フローの増加も生じます。このようなキャッシュ・フローを無制限に見積りに織り込むと、現時点における回収可能性を反映させるという趣旨に反することになります。計画されていない設備の増強から生ずるキャッシュ・フローを見積りに含めないのは、このような理由からであると考えられます。
ただし、資産又は資産グループの現在の価値を維持するための合理的な設備投資については、それが現時点では計画されていないものであっても、見積りに含めることになります。例えば、建物について、内装や設備を更新するための投資が行われる場合がありますが、このような更新投資が、その建物の現在の価値を維持するために必要な投資であり、かつ、合理的なものであれば、キャッシュ・フローの見積りに含めることになります。
事業の再編についても、追加的設備投資の場合と同様に、事業再編を実施する際に一時的なキャッシュ・アウトフローが生じ、再編後はキャッシュ・フローの増加(または、キャッシュ・アウトフローの減少)が生じます。これも、設備投資と同様の理由により、計画されている事業の再編に伴うキャッシュ・フローのみを見積りに含めることになります。ただし、事業再編に伴うキャッシュ・アウトフロー(例えば、早期退職者の割増退職金)には、資産が今後生み出すキャッシュ・フローに関連するものではなく、過去の事象に起因し、引当金処理すべきものもあると考えられます。この点は、引当金の会計基準にも関わる事項ですが、公開草案に対するパブリック・コメントでも指摘されており、実務上、何らかの指針が必要な点かもしれません。
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