「固定資産の減損に係る会計基準」Q&A


 
Q18
 企業に固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定及び予測に基づいて、将来キャッシュ・フローを見積らなければならないのは、なぜでしょうか。




 同じような固定資産でも、その生み出すキャッシュ・フローは、資産を使用する企業に固有の事情−例えば、販売力、生産性、技術力、原材料の調達能力、従業員の給与水準、ブランドイメージ−によって、かなりの程度、左右されます。このような企業に固有の事情をキャッシュ・フローの見積りに反映させるべきかどうかは、将来キャッシュ・フローを見積る目的によって判断されます。
 時価を求めることを目的とする場合の将来キャッシュ・フローの算定は、当該資産に関する市場参加者が、時価を合理的に見積る際に用いるであろう仮定に基づいていなければなりません。この場合、資産を保有する企業に固有の条件はできるだけ排除することが必要となります。
 他方、意見書における将来キャッシュ・フローの見積りは、前述のとおり、資産の時価算定を目的としたものではなく、企業にとって資産の帳簿価額が回収可能かどうかを判定するため、あるいは、企業にとって資産がどれだけの経済的価値を有しているかを算定するために行われるものであるとされています。このため、将来キャッシュ・フローは、企業に固有な事情を反映した仮定及び予測に基づいて見積もることが求められています。
 しかし、企業に固有の事情を反映することが必要であるとしても、キャッシュ・フローの見積りが恣意的なものであっては信頼性に欠けることになります。そこで、キャッシュ・フロー見積りの基礎となる仮定及び予測は、合理的で説明可能なものでなければならないとされています。





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